平城遷都1300年記念グランドフォーラム支出
損害賠償請求の住民訴訟提訴 昨25日、奈良県市民オンブズマンの原告8人は平城遷都
1300年記念グランドフォーラムの違法支出について、住民
訴訟のため奈良地裁に訴状を提出した。
本件に対しては既報の通り監査結果は棄却されたが、監査
委員の「積算内訳を十分確認できない」とする意見が付けられ
ている。原告は積算内訳が十分確認できないのであれば請求
金額の妥当性にも当然問題がある訳で監査結果には不服で
承認できないとして訴訟に及んだ次第である。
訴状提出後、原告8人は記者会見に臨んだ。
訴状 本文
訴 状
平成24年5月25日
奈良地方裁判所 御中
別紙当事者目録の通り
原告 一 村 哲 司
原告 中 村 正 之
原告 中 村 健
原告 中 垣 利 男
原告 中 垣 高 代
原告 梅 光 雅 幸
原告 生 田 實
原告 山 口 昭 夫
奈良県業務委託契約に係る損害賠償請求事件
訴訟金額 金 1,600,000円
貼用印紙代 金 13,000円
第Ⅰ 請求の趣旨
1.被告は奈良県知事荒井正吾及び本件関係職員らに対し
総額7,707,250円及び右金員に対する本訴状送達の日
の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払う
よう請求せよ。
2.訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。
第Ⅱ 請求の原因
1.当事者
(1)原告は奈良県住民であり、「奈良県市民オンブズマン」の
会員である。
同団体は行政の情報開示を進め、政治・行政を監視し、
不正・不当な行政を是正することを目的として活動する
任意の団体である。
(2)被告は奈良県知事荒井正吾である。
2.訴訟の概要
本件訴訟は平成22年9月6日付(財)日本総合研究所等の
共同体との間で締結した「平城遷都1300年記念グランド
フォーラム」企画運営等業務の委託契約(以下本件という)に
係る違法な支出によって奈良県が蒙った損害について奈良県
知事(本件契約締結権限等の所在は知事)並びに関係する職員
に対し損害賠償を求める者である。
損害額及びその算出根拠は別紙1の通りである。
3.違法行為について
(1)本件随意契約は地方自治法施行令第167条の2第1項第2号に該当
しない違法な契約である。
① 随意契約に関する法令に具体的規定が無かったため、拡大解釈が
まかり通っていたが、平成18年8月25日付財計第2017号財務
大臣通達「公共調達の適正化について」で見直しが行われ、随意契約
によらざるを得ないケースは大幅に制限された。そしてそれ以外は競争
入札による調達を行う事になった。
② 奈良県は上記大臣通達を受けて、平成20年3月「随意契約の締結
に関する取扱基準について」を制定し、随意契約が認められる要件と
該当事例を明示しているが、本件は先ずこの要件を満たしていない。
監査結果では本件は同取扱基準二要件2「県が相手方を選定できる
余地がない」に当るとしているが、選択の余地がない場合とは「特殊な
技術、資格等を要し代替する者がいない場合」であり、多くのイベント
会社が存在する本件ケースには当らない事は明白だ。
思い込みも甚だしい身勝手な判断と言うべきである。意見陳述で示し
た国や自治体のフォーラム等のイベントが公募型の契約を締結して
いる実態が原告の主張を裏付けている。
そもそも公共の調達先と密接不可分の関係にあることこそが問題
であってはならない。(天下りと官製談合は密接不可分な関係と言
う等)例えて言うなら良きパートナーというべきであろうか。
③ 以上の通り本件は法令に違反した契約である事は明白であるが、
奈良県が「おんぶにだっこ」の弱い立場の契約の結果、相手方の言
われるままに費用の支出を認めざるを得なくなり、奈良県に多額の
損害を齎す事になった。
(2)本契約の精算について
本件契約の精算は地方自治法第234条の2第1項に規定する契約
履行の完了を確認するための必要な監督・検査に故意又は重大な
過失があった。
本件委託業務契約は法的には準委任行為に当り、受任者は善良
なる管理者の義務を果たす責務があり、委託された業務の状況、
顛末を委託者に報告しなければならい。然るに受任者は状況の変化
を適切に報告しているとは言えず、一方、奈良県も委託業務の実施
状況の確認、チェックが適切に行われているとは言えず、監査委員
からも「慎重さに欠ける」と指摘されている。
① 本件には2つの対立する主張が存在する。
「平成22年10月中旬の段階で、県と共同体との協議により、ほぼ
演出内容が固まり、機材やスタッフに係る費用の増加が明らかになっ
た・・・これに見合う費用を捻出するために事前会合等の取り止めを
減額した」(監査結果十二頁)とする被告の主張と「新聞広告の中止
や出演者の謝礼削減の為、実際の運営費用が契約金額よりも少なく
済んだにも拘らず請求金額を契約金額に合わすため他の支出項目の
金額を意図的(作為的)に水増しした」と主張する原告の主張である。
いずれが真実であるかが問われている。
② 本件は平成22年9月6日付で契約(原契約)したが、平成22年
11月1日付変更契約があり一部見直しが行われた。この時の修正は
全体協議会出席人員減に伴う謝礼、交通費等を72万円減額し、平城
京レポート制作費72万円増額するというもので、機材やスタッフに係る
費用増加の見直しは何もない。
③ ①で「双方の協議の結果演出内容が固まり、機材やスタッフに係る
費用 の増加が明らかになった」のは10月中旬であるにも拘らず、
11月1日付の見直しではこれが反映されていない。
この事は①の監査結果の記述には整合性がなく、矛盾がある。
④ 思うに「10月中旬の段階で演出内容がほぼ固まった」というのは、
残された時間から見て自然で、無理なく理解できるが、「機材やスタッフ
に係る費用の増加が明らかになった・・」とする部分を事実として理解する
事は出来ない。 この状況判断が事実として存在していたのであれば、
2週間後に行われた契約内容見直しに反映して然るべきである。
この点の見直しがないという事は演出内容がほぼ固まった時点において
機材やスタッフに係る費用の更なる増加を予測する情況ではなかった事を
意味する。言い換えると演出内容が固まった時点で機材やスタッフに係る
費用は修正(増額)する必要がないことを確認したと言う事でもある。
事実を曲げた監査結果というべきで、監査の信憑性を根本から損なう
もので、 決して許される事ではない。
⑤ 従って監査結果の内、精算額の相当性に係る部分の記述は信頼する
事は出来ない。(但し、贅沢・無駄なスタッフ交通費等・運営人件費を除く)
事実を覆い隠す為の記述内容であり、機材やスタッフに係る費用の増加
があったのではなく、門外漢には比較的分りにくい部分で費用を増額し、
契約金額まで水増ししたと看做さざるを得ない。(甲4号証参照)
奈良県は共同体の精算報告書について必要な確認や検査を手抜きし、
提出された請求書を鵜呑みにして支払い処理を行ったものと見られる。
一種の官製談合とも言われても仕方がない。
⑥ 無駄で且つ贅沢な費用の支出 その1 音響等スタッフに係る費用
全てのスタッフを東京在住者とする必要性はなく、主力メンバーだけを
東京在住者として、地元スタッフを活用すれば本件企画は十分に実施
できた筈である。
⑦ 無駄で且つ贅沢な費用の支出 その2 運営人件費
100万円を超える会場運営費も異常というべきである。受付等の人件費
20,000円 /日が業界平均というが、場所は奈良県であり東京ではない。
対象者は近畿在住者と思われるが、相場的には半額程度である。
⑥及び⑦は無駄で贅沢な費用と認識すべきで、「最小の費用で最大の効果
をあげるようにしなければならない」とする地方自治法の趣旨に反する。
不幸にも競争性のない随意契約とした為に生じた結果である。
(3)監査結果で本件契約第3条「業務に要した経費が委託料を下回った」
とは業務に要した経費が全体で契約金額を下回った場合の定めであると
主張した。 一方的な解釈と思考するが、重要な事は本件業務の為に実際
に要した金額はいくらであるかと言う事である。監査結果で「積算内訳を十分
に確認できないこと等」が意味する事は数字の根拠が不明で確認不能という
事であり、精算報告書の信憑性は失われている。本件は準委任行為である
ことから被告は全ての支出項目について領収書等EVIDENCEの提出を
相手先に求めて、実態を明らかにすべきである。
(4)監査結果の意見等について
「事務手続き執行について見積書及び精算報告書の記載からは積算内訳
を十分確認出来ない等一部に慎重さを欠いていた」との指摘があり、監査委員
におかれても本件に対する懸念が察しられる。しかしながら、一部に慎重さを
欠いた結果どの様な問題が生じたか迄、踏み込んだ指摘が欲しかった。
本件契約先が荒井知事の肝いりであると聞き及んでいるところ、担当職員
の立場も理解できない事はないが、その事が「慎重さを欠く」事を助長して
いるとすればあってはならない事である。
以上。
証拠方法
1.甲1号証 平成24年3月2日付 住民監査請求書
2.甲2号証 同上の事実証明書一式
3.甲3号証 原契約見積書
4.甲4号証 原契約、変更契約、精算書金額比較
5.甲5号証 意見陳述書
6.甲6号証 随意契約に関する取扱基準について
7.甲7号証 監査委員の監査結果