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奈良県市民オンブズマン 2011.1 renewal

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平成18年度政務調査費控訴審判決について

平成18年度政務調査費控訴審(大阪高裁)判決について

判決文

代理人の石川量堂弁護士の解説です。
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奈良県市民オンブズマンの石川です。
 本日、大阪高裁第9民事部で奈良県議会の政務調査費に
関する不当利得返還命令請求控訴事件(一審は住民敗訴)
の住民側控訴を全面的に棄却する判決を出しました。
奈良県は平成18年度は領収書の提出が義務づけられて
いませんでした(平成20年度から提出義務が定められた。)。
判決理由中、注目すべきは最高裁が政務調査費の支出の
領収書に関する文書提出命令を却下する決定(最高裁
第2小法廷平成22年4月12日決定)を根拠にしている
ことです。
この決定は、条例上、会派又は議員に収支報告書を提出
させるにとどめたものであり、議長の調査にあたっても、
各会派の政務調査費の経理責任者や議員の自らの手元
に保管している会計帳簿や領収書等に基づき説明義務
を果たすことで足り、会計帳簿や証拠書類等を議長に
提出することまで予定するものではないとするものです。
上記大阪高裁判決は、この最高裁の決定を引いて、収支
報告書さえ提出しておけばその記載から支出先や支出内容
を確定できなくても、さらに具体的な支出先や支出内容
を説明したり、資料を提出したりする法的な義務はない
とするものです。
 上記最高裁の決定が出たとき、こうした形で下級審が
最高裁に追随するおそれがあるのではないかという心配
が頭をよぎったのを記憶していますが、今最悪の形で
現実化しました。この判決は今後の訴訟で行政側が
引用するでしょう。上告しても最高裁が上記のような決定
を出している以上、覆る可能性はないようにも思います。
どうするか皆さんのご意見を伺いたいと思います。

by naraken-ombuds | 2012-02-02 16:19 | 監査請求・住民訴訟
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