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平成23年度政務調査費訴訟 第3回口頭弁論開催

平成23年度政務調査費訴訟 第3回口頭弁論開催

 12月17日標記事件に関する口頭弁論が開催された。
 原告が提出した文書提出命令申立書に関して、裁判長から
 被告の対応を確認したところ、来年1月末日までに被告の
 対応を含めた準備書面を提出するとの回答であった。
 裁判長より、できるだけ早い提出を要請するコメントがあり、
 次回期日は平成26年2月13日(木)午後1時15分に決定。

 今回、原告が提出した準備書面(3)及び文書提出命令申立書
 は次のとおりです。
 準備書面(3)
 平成25年(行ウ)第15号 不当利得返還請求事件
原告 一村哲司外1名
被告 奈良県知事

準備書面(3)
                      
平成25年12月6日
奈良地方裁判所民事部合議2係  御中

原 告  一村哲司

原 告  中村正之

当事者間の上記事件に原告は次のとおり弁論を準備する。
第1 監査請求期間の制限について
平成23年4月分政務調査費については自治法242条2項の適用は
   ないとする被告の主張に反論する。原告はこの点については訴状2-3頁にて既に主張済みであるが、被告が独自の見解を示したので、直近の判例を示し、反論する。
   平成25年2月5日和歌山地裁が県会議員の政務調査費訴訟判決において次の様に裁判所の判断を示している。判決文21~22頁
 (1)「自治法242条2項本文は、財務会計上の行為について、当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは監査請求をすることが出来ない旨規定するが、財産の管理を怠る事実についてはこのような期間制限は規定されていないから、怠る事実に係る監査請求は、原則として上記規定は適用されないと解される。」
(最高裁昭和53年6月23日第3小法廷判決)
 (2)「ところで、本件条例によれば、和歌山県における政務調査費の交付、
   使用及び返還の仕組みは以下のとおりである。(以下略)」
 (3)「上記のような政務調査費の交付、使用及び返還の仕組みからすれば、どの支出に政務調査費が充当され、それが本件使途に適合したものか否かは、政務調査費の交付の時点では明らかでなく、本件議員らが収支報告書を和歌山県議会議長に提出した時点で確定するものと解される。
   そして、本件監査の対象は和歌山県の本件議員に対して有する政務調査費の返還請求権の行使を怠る事実であるところ、本件監査請求は、自治法100条13項が定める政務調査費の交付という財務会計行為の違法、無効から返還請求権が発生したと主張するものでなく、本件議員らの使用の違法、無効から返還請求権が発生したと主張するものであり、これらは財務会計行為ではない。そうすると、本件監査請求は、特定の財務会計上の行為が違法、無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって怠る事実とするものにも当らない。したがって、本件監査請求には自治法242条2項は適用されないから、監査請求期間を徒過した違法はなく、本件訴えは適法である。」
第2 会派の目的外支出について
(1)自由民主党機関紙「自由民主」の年間購読費について
   被告は「自由民主」は新聞・書籍と同様、政務活動に必要な調査資料に該当するから違法な支出ではないと主張する。しかし、新聞・雑誌等と同様と言うなら個人で購入するのが普通であるし、仮に会派で購入するな1部の筈である。「自由民主」だけ個人別の部数を購入する理由はない。
又、奈良県議会政務調査費の手引き(乙第5号証)「以下手引きという」では不適当な政党活動の経費として「政党の広報紙」を明記している。
自由民主党に対する寄付だと言われても仕方がないのである。
第3 議員の目的外支出について
(1)事務所費について
 (ア)賃借の事務所が専ら政務調査の為の活動に使われていたかどうかが問われている。既に後援会活動、選挙活動の事実が実証されている以上(証拠説明書2及び3)、被告は賃借事務所が専ら政務調査活動に使われていたこのとの証拠を示すことができない限り違法な支出はなかったとは言い切れない筈である。被告の主張は「専ら調査活動のために供されたものである場合は何ら違法性はない」と当然の事を主張しているに過ぎず、理由のない主張と言わざるを得ない。準備書面(2)3頁中段仙台高裁判決文の中で「議員が政務調査活動に必要な費用として支出したことにつき、それを裏付ける資料がなく、議員においてこれを積極的に補足する説明もしないような場合には当該議員は当該支出が使途基準に合致しない違法な支出とされる事を甘受せざるを得ないと言うべきである」との判示は正に本件事務所費に当て嵌めて判断されるべきものである。
(イ)大阪高裁判決(2007・12・.26)は更に厳しく、具体的表現をもって次の様に判示している。(判決文7-8頁)
前文略「特定の政務調査を行う為に賃借された事務所については、その事務所賃料の全額を政務調査費をもって充てることも差し支えないと解されるのに対し、一般的な個人の事務所は、当該議員の会派に係る政務活動のほか、選挙活動、後援会活動その他の政務調査活動に属さない一般の議員としての活動の拠点としても使用されることが明白というべきであるから、このような事務所については、その賃料の全額を政務調査費をもって充てることは許されないと解すべきである。このような事務所にあっては、当該事務所が市政に関する調査研究活動に供された割合によって、政務調査費を充てることが許される事務所賃料の割合とするのが相当である。
しかし、その区分が必ずしも容易でないこと、普通地方公共団体の議会の議員の地位、権限及び職務内容等にかんがみると、当該事務所が市政に関する割合は3分の1を下らないと認めるのが相当であり、したがって、一般的な個人事務所においては、事務所賃料の3分の1については政務調査費をもって充てることが許されると解するのが相当である。」
(ウ)上記の判例で見た「一般的な個人事務所」に該当する本件議員の事務所費は次のとおりであり、按分が必要である。
井岡議員1,224,000円102,000×12月 大国議員563,520円 46,960×12 藤野議員 900,000円 72,500×12  畭議員1,056,000円 88,000×12
岡議員  753,500円 68,500×11  4月分なし             
森山議員1,344,000円 112,000×11  4月分なし
中野議員1,800,000円 150,000×12
安井議員 459,780円 30315×12 +96,000(駐車場)
奥山議員 350,000円 35,000×10 4月分なし
粒谷議員 924,000円 84,000×11  4月分なし
高柳議員 1,827,785円 (221,550×11)×75% 4月分なし
小泉議員 583,174円 10-3月分60,262×5+セコム31,500 
           駐車場2台分 70,052+180,312  
尚、支払先㈱聖は2分の1按分している為、4月分73,410円及び5-9月分
337,630円は適法と認め、この分の請求は取り下げる。
(エ)親族名義の事務所賃借料について
  平成24.5.29岡山地裁判決(判決文38,39頁)では「議員が自己所有や代表者等の機関となっている法人からの賃借によるものである場合又はそれと同視できる様な場合においてはそもそも事務所賃借料が発生していること自体に合理的疑いが生じ、当該支出が議員が行う調査研究活動のための支出として合理性ないし必要性を欠いていることを疑わせるに足りる客観的事情があるというべきである。よって上記の場合においては反証がない限り事務所賃借料としての支出は全額違法な支出として認めるべきである」とした明解な裁判所の判断が示されている。平成25.3.21広島高裁控訴審
判決においても支持され、この部分の訂正はない。従って、本件下記5議員に係る事務所賃借料は全額違法な支出というべきである。
  ① 乾議員 甲18号証で見るとおり、乾議員が代表取締役、乾恭幸、
乾美津子の3人が一族であり、一族以外では鳥井哲氏名であり同族会社である事には間違いがない。賃貸契約の相手方が所有者たる議員本人と同視
しうる場合に当り、政務調査費の支出は違法に当るというべきである。
  ② 神田議員 アシストひまわりは有限会社で役員構成は神田昌紀、神田議員
  神田全康の3人と非常勤の(有)ブレーン関西(政務調査の委託先)の役員    2名である。(甲2-5号証)これを見れば親族経営の同族会社であることは一目瞭然である。又、甲19号証で見るとおり、神田議員及びアシストひまわり代表取締役神田昌紀は同一住所に居住しており、生計を一つにしていると推認できるから、手引き(10頁)でも指摘している様に政務調査費の充当は認められないと言うべきである。
  ③ 森川議員 甲20号証でみるとおり、賃借先㈱河合清掃社代表取締役森川典子は森川議員と同一住所に居住しており、生計を一つにしていると推認できるから政務調査費手引きに従い、賃借料の政務調査費の充当は認められない。又、後援会事務所も同一場所で届けられている。
  (甲17-18号証)
  ④ 辻本議員 甲22号証でみるとおり、賃借先かねつ工業㈱代表取締役 
  辻本淳子は辻本議員と同一住所に居住しており、生計を一つにしていると
  推認できるから、政務調査費の手引きに従い、賃借料の政務調査費の充当は認められない。又、家賃は毎月支払うのが原則であるが、かねつ工業への支払は12月と3月の2回払いという異常な処理でもある。
  ⑤ 秋本議員 家賃は2分1按分で充当している。しかし、甲21号証でみるとおり、秋本建設は民事再生手続きを経て平成23年3月再生計画が認可され、役員は大幅に交替したが、議員の親族秋本泰子は新体制においても役員に就任しているところから、甲2-7-124号証のBLOG記事に記載のとおり、秋本議員が実質的オーナーと推認できる。BLOG記事は信用調査会社「東京経済」発表のもので信頼できる情報である。
(2)人件費について
  ア 手引きでは「雇用した者が他の業務に携わっている場合は業務実態
よって経費を按分する。業務実態が明らかでない場合は1/2を限度として充
当する」となっている。
本件人件費については平成23年4月の県会議員選挙、後援会活動、一部議員の政党活動に係る外形的事実の存在を証拠説明書2及び3でみたとおりである。 前掲平成24.5・29岡山地裁判決では(26頁下段から)「本件支出が議員の行う調査研究のための支出として合理性ないし必要性を欠いていることを疑わせるに足りる事情が認められない場合においては当該支出が違法であることが事実上推認され、被告においてこの推認を妨げるに足る反証を行う必要があるというべきであり、この反証がなされない場合は当該支出が使途基準に合致しないものと認めるのが相当である」との裁判所の判断を示した上で、人件費については判決文37頁において「議員が個別に雇用する職員については議員が日常的に政務調査以外の政治活動を行っていることに鑑みると、専ら政務調査活動を補助する職員として雇用されたとか、実際に政務調査活動しか行っていなかったとは考えにくく、上記事情が認められない限り実質に即して50%で案分し、その限度を超えた支出は政務調査活動に係るものとして違法であると認めるのが相当である」との判示があり、原告の主張を裏付けるものである。
平成25.3.21広島高裁控訴審判決もこの部分の訂正はなく支持している。
  イ 按分がなく、100%充当した補助職員人件費
    小林議員1,440,000円 月額120,000×12 1名
井岡議員1,200,000円、月額(80,000+20,000)×12 2名 
尾崎議員3,119,251円 4月7名、5月~2月 6名雇用
3月の人件費充当はない。支出額が交付金額を超えている為か?
藤野議員1,164,620円 日給5000+交通費 4月125,180 3名
5~3月 1.039,440 1名
    岡議員  865,000円、支給額毎月変動、延べ20人(回)支給
畭議員  612100円、支給額毎月変動 延べ13人(回)支給
浅川議員1,650,000円 月額150,000×11 1名
    森山議員1,320,000円 月額(80,000+30,000)×12 2名
    森川議員1,560,000円 月額130,000×12 1名
中野議員 960,000円 月額80,000×12 1名
    神田議員 540,000円 月額45,000×12 1名
安井議員 960,000円 月額80,000×12 1名
荻田議員3,036,000円 月額260,000×11、4月分176,000 1名
    山本議員1,820,000円 月額130,000×14(賞与2月分含む)1名
    和田議員 880,000円 月額80,000×11  但し4月分なし 1名
    米田議員 960,000円 月額80,000×12  1名
    出口議員1,780,000円 2名雇用 支給額各月変動
粒谷議員1,650,000円 月額150000×11  但し4月分なし 1名
    小泉議員1,800,000円 月額(100,000+50,000)×12 2名
藤本議員1,140,000円 月額(60,000+20,000)×11+手当200,000
           但し4月は60,000 1名、他の月2名
山下議員2,573,840円 (月額225,400×12+賞与512,500)×0.8
 但し会派で20%充当、山下議員は100%政務調査費扱いである。
川口議員3,360,000 月額280,000×12 4名 政務調査費全額を充当
  ウ 一部分按分のある議員の人件費 
上田議員 960,000円 月額80,000×12 但し別途1名雇用と言う。
奥山議員 4月分  166,000×2/3
         5月以降 1,826,000円 166,000×11 1名
    岩田議員 4月分  241,600×1/2 2名  5月以降適法
    辻本議員 4月分  100,000×2/3
         5月以降 1,100,000円 100,000×11 1名
    秋本議員 4月分  160,000円  1名 
         5月以降 1,320,000円 120,000×11  1名
外に 467,500円(85,000×11)×1/2 1名 適法 
 (3)ガソリン代について
    ア 秋本議員が平成23年度議会用務として登庁したのは33日、費用弁償額は1日当2900円合計95,700円である。(甲29号証)自宅から議会まで片道37.5km、この例からすると充当した支出
430千円のガソリン代は148日分の費用弁償に相当し、38.9円/km(2900円÷75km)は約11,000kmの走行距離に相当するもので不当に高額である。寝屋川市議判決に準拠して月額10,000円とする原告の主張の相当性が裏付けられると言うべきである。
    イ 新谷議員は政務調査費の訂正届があり、ガソリン代の領収書3枚を差替え減額した。(甲30号証)然し、訂正前領収書の添書はガソリン代としていたが、訂正後はガソリン、灯油代に変更している。
ガソリンと灯油では使途が異なるものであるから、使途不明な違法な支出というべきである。
 (4)委託調査費については請求中の文書が提出された後、主張する。

                                以上。
 文書提出命令申立書
 
平成25年(行ウ)第15号  不当利得返還請求事件
原告  一村哲司外1名
被告  奈良県知事

文書提出命令申立書
平成25年12月6日

奈良地方裁判所民事部合議2係  御中

                   原告  一 村 哲 司

                   原告  中 村 正 之
 
原告は下記文書の提出命令の申立を行います。

第1 事務所賃貸借契約に係る文書
1.文書の表示及び趣旨
  政務調査活動に使用するため賃借している事務所の所在地及び賃借
条件が分る文書(賃貸借契約書等を指す)
2.文書の所持者 次の県会議員
  井岡正徳、大国正博、藤野良次、岡 史朗 畭真夕美、森山賀文
  森川喜之、乾 浩之、中野雅史、神田加津代、安井宏一、奥山博康
  高柳忠夫、辻本黎士、粒谷友示、秋本登志嗣、小泉米造、小林茂樹、
尾崎充典、淺川清仁、上田 悟、荻田義雄、山本進章、岩田国夫
  和田恵治、米田忠則、出口武男、藤本昭広、山下 力、川口正志
3.証明すべき事実
 ア 当該議員の居宅、後援会事務所の所在地については既に明らかにされているが(外形的事実が存在)、政務調査活動の為に借用した事務所とそれ以外の活動の為に使用する事務所との関連を明らかにすることが、政務調査活動とそれ以外の活動の割合を判断するために必要な文書である。
 イ 借用した事務所が、議員が雇用した補助職員が専ら政務調査活動のために使用した事務所であるか否かを判断する為に必要な文書である。
4.文書提出義務の原因
  本文書の提出義務は準備書面(2)3頁で引用した仙台高裁判決「議員に会計帳簿の調製や領収書等の整理保管が義務付けられていることに照らして、違法な支出を伺わせる外形的事実が明らかにされた様な場合議員が政務調査活動に必要な費用として支出したことにつき、それを裏付ける資料がなく、議員においてこれを積極的に補足する説明もしないような場合には当該議員は当該支出が使途基準に合致しないとされる事を甘受せざるを得ない」に相当するもので、被告には説明責任がある。
第2 委託調査費に係る文書
1.文書の表示及び趣旨
  奈良県政務調査費の手引きでは調査委託費について「調査研究等の政務調査活動業務を委託するときは業務委託契約書を締結ものとする」とし、「成果物には委託業務報告のほか委託費の清算報告も必要とする」との定めがある。委託調査を実施した議員が所持している「業務委託契約書」及び「その成果物」に係る文書の提出を求める。
尚、荻田議員には定額で毎月購入した資料が分る文書を求める。
2.文書の所持者
  乾 浩之、上田 悟、神田加津代、安井宏一、米田忠則、出口武男、
浅川清仁、荻田義雄
3.証明すべき事実
  使途基準違反が伺われる(次項に記載)ところ、委託調査の実態を確認し、奈良県政との関連性の有無を判断する。
4.文書提出義務の原因
   本件委託調査費については調査の実態が全く不明である。政務調査費の活用は本来議員の自立的判断にゆだねられているが、反面、調査の内容が多岐に及ぶことも事実である。この様な場合、その支出が奈良県政との関連性の有無によって適法な支出か否かが判断されるべきである。本件監査結果最高裁判例(平成21.12.17)で「政務調査費の支出に使途制限違反があることが収支報告書等の記載で明らかに伺われる様な場合を除き(中途略)立ち入ってその使途基準の適合性を審査することを予定していない」とあるが、本件調査費は「使途制限(基準)違反が伺われる」場合に相当するというべきである。政務調査費はその制度の趣旨からもその支出の透明性が強くもとめられているから、委託先ブレーン関西については議員の集団委託や既述の神田議員との関係、更には領収書に対する疑念(神田、米田議員に係るブレーン関西並びに奈良政策研究会の領収書は同一人が発行している事は特徴ある筆跡から鑑定するまでもなく明らかである)等あり、使途基準違反が伺われる。(甲2-7-56,57、2-7-99,101号証)
上田議員の委託先クリエイターズパーティの所在地(領収書)は新婚向け2LDのアパート(甲23号証)との事で支払先に対する疑念があり、出口議員の場合は委託先(黒塗り)、支払方法(2回払、100万円)等から使途基準違反が強く伺われる。
                                 以上。
by naraken-ombuds | 2013-12-18 12:01 | 監査請求・住民訴訟
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