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平成25年度政務活動費 奈良地裁に提訴

平成25年度政務活動費 奈良地裁に提訴

5月22日、平成25年度奈良県議会政務活動費37百万の返還を
求める住民訴訟を提訴しました。
1会派(自由民主党)、37議員に係る7項目に関して不適切な支出
が認められたもので、現在大阪高裁で係争中のものも含め、相も変
わらない議員の公金支出に対する認識の甘さにはうんざりするもの
がある。奈良県監査委員の不真面目な監査姿勢の改善が望めない
中で、政務活動費に対する厳しい国民の視線が全国的にそそがれ
ている時の今回の訴訟に期待をしている。

訴状は下記のとおりです。
    
             訴   状
                      
                            平成27年 5月22日
奈良地方裁判所 御中

                         原 告   一 村 哲 司

                         原 告   中 村 正 之

     当事者の表示  別紙当事者目録記載のとおり。

奈良県議会会派並びに同議会議員に係る不当利得返還請求事件

訴訟金額       金 1,600,000円
貼用印紙代      金    13,000円

第1 請求の趣旨
1.被告は別紙1「相手方請求金額一覧表」の相手方欄記載の各相手方に
対し、それぞれ同請求金額欄記載の金員及びこれに対する平成26年4
月1日から支払済まで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。
 2.訴訟費用は被告の負担とする。
   との判決を求める。
第2 請求の原因
 1.当事者
   原告は奈良県住民であり、「奈良県市民オンブズマン」の会員である。同団体は行政の情報開示を進め、政治・行政を監視し、不正・不当な行政を是正することを目的として活動する任意の団体である。
 2.訴訟の概要
  (1) 奈良県議会会派及び同議会議員の平成25年度政務活動費には使途基準に適合しない目的外支出があり、これ等の支出は会派及び議員の不当利得に相当するものであるから奈良県に返還すべきものである。
  (2) 会派に係る目的外支出は自由民主党が実施した視察研修費用
244,000円である。
(3) 議員に係る目的外支出は下記6項目計36,843,921円
①調査費(南部振興議員連盟懇親会) 82,500円、
②公聴広報費の内の印刷物費  8,009,200円、
③事務所費         11,800,449円
④人件費        16,209,632円 
➄HP維持管理費       715,365円
⑥パソコンSETUP費     26,775円 
違法な目的外支出は総計  37,087,921円である。
  3.政務活動費の法的根拠
   政務活動費は地方自治法第100条第14項の規定に基づき交付されるものであり、奈良県には「奈良県政務活動費の交付に関する条例」並びに「政務活動費の交付に関する規定」及び「政務活動費の手引き」等により使途基準や収支報告書、領収書等の提出の定めがあり、これ等の趣旨に沿って適切に使用されなければならないとされている。
第3 平成25年度における政務活動費の違法支出 各論
1.会派自由民主党の視察研修について
(1)ホテル会議費用(嬉野市)30,000円及び食費15,000円 
当該費用については、佐賀市の会議費用、会食費45,000円、甲府市の会議費用30,000円は監査請求後返還された。この費用について監査請求前に確認を求めたところ、口頭で「会議をした」との事務局の回答であったが会議の目的、出席者も不明で説明のつかない費用である。
監査請求を受けて2会場分は不適切な支出と認めて返還した訳であるが、嬉野ホテル分も他の2会場分と同様の支出であると見られる。「政務活動の手引き」では会議の夜食弁当代は3000円とする定めがあり且つ、宿泊ホテルには視察を終えて午後6時30分に到着しており、日程表からは夜は何も予定されていない。違法な支出と言わざるを得ない。
(2)ジャンボタクシー代について
奈良県の職員の旅費に関する条例第1条では国家公務員の旅費に関する法律に準拠するとあり、同法第7条では「旅費は最も経済的な経路及び方法により旅行した場合の旅費により計算する」とある。下記タクシー代金は法律、条例に違反するものであり認められない。手引きでは「原則実費弁償とし、タクシーの利用は合理的と判断される場合に認める」との定め
がある。日程表を見る限りにおいては少人数でもあり、その都度支払、予約する事で充分対応できる。ジャンボタクシーの借上げは公務上の必要性が認められない。利用情況は下記の通りである。(甲7,11号証から)
   ① ジャンボタクシー代 佐賀、長崎135,000円、
 1日目 長崎空港から40分で諫早調査現場へ、1時間滞在後60分で宿泊ホテル へ45,000円、2日目 ホテルから30分で県庁へ、2時間滞在後30分で昼食場所 食後10分で企業視察現場へ 1時間半滞在後30分で㈱陶悦窯へ、2時間滞在後30分でホテルへ 55000円 
3日目 ホテルから空港へ40分 35,000円
② ジャンボタクシー代 東京、甲府104,000円
 1日目 11時10分東京駅から20分で国土交通省へ(省内3箇所訪問)15時30分 参議院議員会館から30分で東京駅 55,000円
 2日目 ホテルから10分でリニア推進課他へ 70分滞在後10分で昼食場所 昼食後 70分でJR甲府駅 49,000円
上記①+②=239,000円の内、1日当り10,000円が適正額と見て、199,000  円が目的外支出である。
佐賀・長崎方面の領収書番号が東京・甲府方面のものより、後番号になっている事について監査結果では「紛失した」と述べているが、領収書に「再発行」の表示はなく監査結果は失当と言わざるを得ない。
(甲7~13号証参照)
2.議員 調査費 南部振興議員連盟懇親会費用 弁当代 82、500円
 当懇親会において出席者78人に3000円の弁当を、出席者以外の48人に2000円の弁当を支給した。南部振興議員連盟は有志県会議員12名で構成されており運営費用は各人が拠出した資金で賄っている。当議員連盟の岡、国中及び松尾の各議員は議員連盟の会費として拠出した資金の内、上記弁当代相当分を政務活動費として充当した。(1人当り27,500円)
他の9人の連盟議員には政務活動費への充当はなかった。手引きで昼食
弁当代は1500円が限度とする定めがあり、使途基準に合致するとは言えず違法な充当と言うべきである。(甲14~15号証参照)
3.議員 公聴広報費の内の印刷物費用
 多くの議員は自己の主張や活動並びの議会報告の為に印刷媒体を通じて地域住民に情報提供を行っている。この活動はその限りにおいて、ひとつの政務活動と看做すことはできるが、この印刷媒体を便用して後援会活動に係る記事や政党活動の紹介 記事或いは議員の趣味や家族紹介等の記載がある場合、是等は政務活動とは言えず、その部分に相当する印刷費用は政務活動費の使途基準に合致しない。
  手引においては後援会活動や政党活動等に係る記事記載があった場合はその記載の割合に応じて適切な按分をしなければならないとしている。 この手引きの定めを確認するには作成された印刷物を見る事が必要不可欠である。
 議会事務局は印刷物を見る確認作業を行っていないとの事であるので、この印刷物の開示請求をしたが、拒否された。不服審査請求するも、全員が議員で構成する審査会の審査を経て、議長は最終的に印刷物の開示はできないと回答した。原告はこの回答は不当なものであり、適切な審査会メンバーによる審査のやり直しを強く主張している。(意見陳述参照)
尚、監査結果において透明性の向上のために「例えば広報紙の現物など添付書類の範囲や関係書類のインターネットでの公開について検討を行うことが求められている」との意見が付されたが、この事は裏返せば印刷物を見て確認する必要性を痛感していると解される。 原告の調査によれば、該当する印刷物を作成し、政務活動以外の記事記載を認めて按分を行った議員は11名(内7名が50%按分)で平均按分率は65%である。
 これに対して、作成した印刷物は全て政務活動の為の記事であるとして、100%を充当した議員は22名である。政務活動費が政務活動の為の費用と定められている以上、政務活動以外の費用を政務活動費と認める訳にはならないし、同僚議員11名が按分している事実は尊重されなければならない。11名もの議員が按分している外形的事実が存在している場合、100%按分をした議員はこの外形的事実を覆す裏付けとなる証拠を提出する必要があると言うべきである。当該印刷物を見て確認するしか方法はなく、原告は別途当該文書の提出命令を裁判所に要請する予定である。
  返還請求金額は按分を行った議員11名の平均按分率で算出しているが、印刷物の確認により実態に基づく按分率により修正計算されることは当然である。(甲16号証~91号証参照)
( 別紙2 公聴広報費で充当した印刷物代明細 )
4.議員 事務所費の内の賃借料(含む駐車場)
 賃借料100%を政務活動費として充当している議員15名及び75%を充当している議員1名の支出には違法性があると考える。これに対して
10名の議員は2分の1を充当し、半分は政務活動以外の使用があることを認めている。
森川善之、乾浩之、辻本黎士、神田加津代の4氏については生計を同じくする親族の経営する会社に支払う賃借料である。手引書では「自己所有及び生計を一にしている親族の所有物件の賃料の支出に充当することはできません」とある。平成25年1月29日和歌山地裁判決(30頁)では議員とその配偶者・親族が経営する同族会社に対する賃借料は実質的に議員の利益になっているとして、名義が配偶者であっても実質な支配者は議員であると判断し違法な支出とした。(この判決はその後確定判決となった)
又、大國正博、安井宏一、森山賀文、小泉米造、岡史朗、はり真夕美、高柳忠夫の7氏は後援会事務所と政務活動事務所とが同一事務所であり、理論上も実態面からも100%充当は在り得ない話である。(高柳議員は75%充当)賃借事務所で後援会活動が全くなかった事を裏付ける客観的証左を示すことができなければ違法な支出がある事を認めざるを得ない。
 藤野良次、中野雅史、和田恵治、粒谷友示、奥山博康の5氏の後援会事務所所在地は政務活動事務所とは異なるが、いずれも政務活動事務所の近くにある。後援会活動は日常的に行われるものでないから、後援会専任の事務員を配置する事は考え難く、賃借事務所で後援会事務が行われていると見るのが自然である。後援会事務所が賃借事務所以外のところに存在する事だけをもって、賃借事務所において後援会活動等がなかったという事にはならない。  一般に議員の活動は多岐にわたり、調査活動のほか、政治団体(政党)活動、選挙活動、後援会活動その他の活動が渾然一体となって行われており、その活動の拠点である事務所を複数設置する場合事務所毎に機能を分化することはさほど行われていることではない。各事務所は渾然一体となっている議員の活動に使用されていると推認できる。従って、例えば後援会活動は別の場所で行っているときであっても、議員が政治活動とそれ以外の活動とを場所的にどの様に峻別して行ったかは判然としないから、賃借事務所で生じた費用が直ちに調査研究のためだけの経費であるとは言えず、外形的事実による推認を覆すには足りないと言うべきである。即ち、100%充当した賃借料のうちには、調査研究以外の活動の為の経費も混在しているものと認められ、この場合に手引きでは使用実態に応じて按分することとし、使用実態の按分が困難な場合は2分の1を限度に充当できるとある。
( 議員別の領収書等の証拠は甲92号証~102号証を参照 )
( 別紙3 平成25年度政務活動費 事務所賃借料明細 )
5.議員 人件費
人件費を2分の1充当している議員は9名である。それに対して100%充当している議員は19名である。一般に議員としての活動は多岐にわたり、調査活動のほか、政治団体(政党)活動、選挙活動、後援会活動その他の活動が渾然一体となって行われているため、議員の雇用された職員についても渾然一体となって行われている議員活動に従事しているとみるのが通常である。従って、議員が職員を雇用している場合議員の職員であるという外形的事実から、当該職員は渾然一体となって行われる議員活動の為に雇用されたと考えるのが通常であり、議員が当該職員を単に政務活動専用職員として雇用したと主張されるだけでは「通常は渾然一体となって行われる調査活動とそれ以外の活動をどの様に峻別して職員からの労務提供を受けていたのかは判然とせず、外形的事実による推認を覆すに足りない」(平成25年7月3日名古屋高裁金沢支部判決15頁)との判示もある。手引きでは「業務実態によって経費を按分する。但し、業務実態が明らかでない場合は1/2を限度に充当できる」とする定めがある。100%充当した議員は以上の様な外形的事実を覆すような証拠を示す必要がある。同僚議員9名が2分の1
按分を行っていることも一つの重要な状況証拠でもある。
( 甲103号証~159号証 参照 )
( 別紙4 平成25年度政務活動費 人件費明細 )

6.議員 事務費等
(1)HP維持管理費用
この費用については6人の議員が2分の1按分を行っているが妥当な判断である。
これに対して、次の7人の議員は支出の100%を充当している。奈良県の手引きでは「広報紙の例に準じて按分する」事になっている。
  ( 年間支出充当額 )        (違法な充当額)
安井宏一   110,250円     55,125円
大國正博   189,000      94,500
粒谷友示   378,000     189、000
奥山博康、  249,480     124,740
はり真夕美  189,000      94,500
岡史朗    189,000      94,500
和田恵治   126,000      63,000
        違法充当額計     715,365
そもそも、HPは単に政務活動状況を発信するだけでなく、自己のPRや
私事に係る紹介・連絡等(選挙・後援会・政党等の諸活動を含む)を本来的な目的とする媒体であるから、自らのホームページが全て政務活動の為とは
現実的には考えにくい。
最近(監査請求書提出の頃)のHPを見ると岡、大國、はりの3議員は公明党名の表示や公明党広報紙の表示がある。粒谷議員は後援会タブを設け
(HPに一定のスペースを確保)、和田議員は後援会事務所所在地の紹介があり、安井議員は自民党名の表示や知事と握手する写真があり、奥山議員は家族紹介や参議院選挙出馬予定者の写真等があり夫々程度の差はあるものの、政務活動以外を目的とした運用も存在することは明らかである。按分議員と100%充当議員が拮抗する状況にある事と上記最近の掲載内容が示す外形的事実に鑑みると、100%充当している議員は是等の外形的事実を覆すだけの証拠を示すことが出来なければ、2分の1は違法の支出と認めざるを得ないというべきである。(甲160号証~167号証 参照)
(2)尾崎議員 パソコンSetup費用 26,775円
パソコンが政務活動以外に使われないという事は通常は考えにくい。
監査結果では外出先からの操作が出来る為のSetupと説明しているが、その事が政務活動以外の使用が無いことを証拠付けることにはならず、SETUP費用であることには変わりはなく、2分の1は違法な支出と言わざるを得ない。(甲168号証参照)
第4 監査請求期間が途過しているとの主張について
  監査結果で議員藤本昭広氏の政務活動費648,942円は請求期間が
  途過しているとの理由で監査の対象としなかった。しかし、これは以下の
  理由で反論する通り、監査委員の判断には誤認がある。
  平成14年7月2日、最高裁第三小法廷判決において「当該財務行為に違反して違法があるか否かを監査委員が判断をしなければならない関係にない場合は監査請求期間の制限を適用すべきでない」とする判示があるが、
  この考えは政務活動費の裁判では既に定着した判断と思考する。
本件の場合は公金を支出した職員に違法な行為がなく、交付を受けた議員の不正請求というべき事案である。即ち瑕疵ある精算、支払う必要もない金額を含めて確定・精算させてしまったという客観的な違法に基づいて発生した不当利得返還請求権の行使を怠る事案である。
監査委員が違法な財務会計行為があったかどうかを判断する関係になく監査請求期間の制限を受けないと解すべきである。
奈良県の平成23年度政務活動費訴訟(判決平成26年11月27日)においても被告は同様な主張をされたが奈良地方裁判所は原告の主張を支持し、その部分で原告が一部勝訴していることは記憶に新しい。
                             以上。







証拠方法
1.甲1号証  住民監査請求書 平成27年2月26日
2.甲2号証  意見陳述書 
3.甲3号証  同上の監査結果 平成27年4月23日
4.甲4号証  奈良県政務活動費の交付に関する条例
5.甲5号証  奈良県政務活動費の交付に関する規定
6.甲6号証  奈良県議会 政務調査費の手引き(抜粋)
7.甲7号証  ~13号証  会派分 
8 甲14号証~168号証  議員分

   










別紙
        当事者目録

原 告
1 郵便番号  636-0023 
  住  所  奈良県北葛城郡王寺町太子1-10-15 「送達先同左」
氏  名  一 村 哲 司
電話・FAX 0745-31-0229
2 郵便番号  634-0824
住  所  奈良県橿原市一町1140-1  [送達先は原告1]   氏  名  中 村 正 之
電話/FAX  0744-28-0749

被 告 
  郵便番号  630-8501
住  所  奈良市登大路30番地
氏  名  奈良県知事 荒 井 正 吾
        
        
                 




  
by naraken-ombuds | 2015-05-24 10:57 | 監査請求・住民訴訟
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