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奈良県葛城地区清掃事務組合 住民訴訟 提訴しました

奈良県葛城地区清掃事務組合 住民訴訟 提訴しました

訴   状
                        平成28年2月26日

奈良地方裁判所御中

                       原告   一 村 哲 司

                       原告 山 本 秀 子

当事者の表示   別紙当事者目録記載の通り

御所市に対する損害賠償並びに支払差止め請求事件

訴訟金額   金 1,600,000円
添用印紙代  金    13,000円

第1 請求の趣旨
1.被告は相手先御所市に対し、別紙1「相手先御所市に対する請求金額一覧   表」の金額欄に記載の支払済分の金員及びこれに対する各支払年度の翌年   4月1日から支払済まで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。
2.被告は相手先御所市に対し、別紙1「相手先御所市に対する請求金額一覧   表」の金額欄に記載の支払差止め分の金員の支払差止めを求める。
3.訴訟費用は被告の負担とする。
第2 請求の原因

1.当事者 
  (1)原告は奈良県住民であり、「奈良県市民オンブズマン」の会員
である。同団体は行政の情報開示を進め、政治・行政を監視し、不正・
不当な行政を是正することを目的として活動する任意の団体である。
(2)被告は奈良県葛城地区清掃事務組合管理者東川裕である。
2.事件の背景
奈良県葛城地区清掃事務組合(以下組合という)は大和高田市、御所市
香芝市、葛城市、上牧町、王寺町、河合町及び広陵町によるし尿及び浄化   槽汚泥を共同で処理する目的で設立された一部事務組合である。当初、大   和高田市内にし尿処理場「緑樹園」(昭和34年4月供用開始)を設置し、  処理を行ってまいりましたが、その後の施設の老朽化、処理人口の増加等に
 より処理対応が困難になり、新処理場建設が急務となったが、建設用地取得  に至らず、やむなく海洋投入処分(昭和56年9月から)による処理を行っ  て来た。そして、 平成12年2月組合議会定例会において御所市僧堂に
 し尿処理施設建設事業を平成12年から3ケ年継続事業で実施する事を決定
した。その年12月組合と御所市の間で、し尿処理施設設置に関する協定書
が締結された。しかし、この協定は本来御所市が行うべき事業(新市道建設
事業と住民の為の上水道設備整備事業)をし尿設備誘致の立場を利用して加入
する自治体に費用負担を強要するようなもので違法な行為である。
3.事件の概要
(1)被告が相手方御所市と葛城98号線(市道)建設費用について組合    が負担する事を定めた協定の締結(協定書第3項)は地方財政法に反する
 違法な行為であり無効である。由って、相手方に対して支払済み分の返還と
 今後の支払の差止めを求める。
   支払済分               220,702,300円
   今後の支払予定分(平成28年度以降) 310,951,700円 
(2)被告が相手方御所市と近隣未給水地区給水設備関連費用について組    合が負担する事を定めた協定の締結(協定書第2項)は違法な行為であり、  無効である。由って相手方に対して支払済分の返還と今後の支払の差止めを
 求める。
   支払済分               950,253,750円
   今後の支払予定分(平成28年度以降) 526,431,250円 
第3 請求の対象行為
 1.葛城98号線(市道)建設費用の負担について
(1)平成12年11月28日(当時仮称 かつらぎ浄化センター設置に    関連して、組合と御所市との間で葛城98号線(事務組合施設から県道
   御所香芝線に至る1.1kmの道路)の新設道路工事費用を事務組合が負担
   するとする協定(甲4号証、協定書第3項)(道路図面甲5号証)を締結
   したがこれは地方財政法の定めに反する違法な行為であり、この協定は
   無効である。
   (尚、国道24号線から施設までの進入路に係わる工事費負担の協定部
    分には問題がない)
   地方財政法4条5では割当的寄付金等の禁止を定めている。
「地方公共団体は他の地方公共団又は住民に対し直接であると間接である    とを問わず寄付金(これに相当する物品等を含む)を割当てて強制的に
 徴収(これに相当する行為を含む)するようなことをしてはならない」
 叉、同法9条では「地方公共団体の事務を行うために要する経費につい    ては当該地方公共団体が全額これを負担する」とする負担区分の定めが
   あり、更に同法第28条の2では地方公共団体相互間における経費負担    の関係について、「負担の区分が定められている事務について他の地方公    共団体に対して、当該事務の処理に要する経費の負担を転嫁し、経費の    負担区分をみだりにみだすようなことをしてはならない」との定めがあ    るが、本件はそのいずれにも反する行為である。
   この趣旨は国又は地方公共団体が制度上自ら負担すべき経費に     ついて地方公共団体又は住民に対して、その負担を転嫁してはならない
   というもので、財政秩序の確立を期するためには必須の要件と言われて
   いる。即ち、地方財政法は地方財政の運営と健全性を確保する目的で制
   定されたものであるが、同法2条では地方公共団体は「他の地方公共団
   体の財政に累を及ぼすような施策をしてはならない」と地方財政運営の
   基本を明記している。更に、道路法16条において「市町村道の管理は
   その路線の存する市町村が行う」と責任区分の明記があり、同法49条
   では「道路の管理に要する費用は、当該道路の道路管理者の負担とする」
   と費用負担者を明らかにしている。 組合が負担する工事費用は総額
   531,654,000円(甲6、8号証)であるが、この費用は加入
   する自治体に割当て、平成46年度迄に分割して支払う事にしている。
   (加入する自治体が負担金として毎年事務組合に納める)
(2) 葛城98号線は当初県道としての建設を予定していたが、県との
 協議において県道としては認められず、市道として新設することになっ    た経緯があるが、事務組合が必須とする道路ではなく(甲5号証参照)
 御所市が行う市道新設事業である。御所市は道路建設については、国庫
 補助金、県補助金の交付を受ける他、普通交付税の交付(211,202千円)
 も受けたもので対外的にも、実質的にも正しく御所市の事業として実施
 したものである。国土交通大臣に提出した地方道路整備臨時交付金交付    申請書には対象事業は「京奈和自動車道等高規格道路や国道及び主要幹    線道路と連携しつつ、市内の観光地、各種施設等の連携強化を図る道路
 整備」(甲9号証)との申請理由の記述がある。
   本協定書第3項は御所市が負担すべき金額を事務組合に転嫁しようと
   するもので、住民に歓迎されないし尿施設誘致という事情は斟酌しても    その立場を利用して、事務組合加入の他の自治体に対して、負担       を強要する様なもので法令違反であり認められない。
(3)監査結果において葛城98号線新設工事費用を事務組合が負担する
 ことについて国道24号線が事故等で使用できない状況に備えて必要で
 あると述べているが、理由のない言訳である。監査結果は「理由がない    から棄却する」であるが原告が主張している法令違反については何等の
 反論もなく、棄却の理由は理解ができるものではない。
(4)相手方御所市は道路建設費用を事務組合に負担させる事の違法性を    認識しており、これを隠す為、負担金の請求理由を法定外公共物である
   里道・水路の使用料の名目で請求している。(甲7、10号証)
   しかし、里道・水路は施設の建物や舗装道路の下に埋没しており実態は
   ない。監査請求では実態のないものの請求も条例違法であると指摘して
   いるが、監査結果では「法定外公共物占有料をもって充当することは組
   合市町の負担を軽減するために取られた措置と理解できるもの」とする
   関係のない理由を述べるに留まっているのは遺憾である。
2.近隣葛城地区水道整備事業について
 (1)平成12年11月28日(上記と同じ協定書)事務組合と御所市は水
道整備事業に係わる経費負担の協定(協定書第2項)、並びに覚書(甲11
号証)を締結したがこれも地方財政法の定めに反する違法な行為であり
無効である。水道整備事業の経費には、し尿処理施設等への配水管等の敷
設工事と近隣葛城地区住民に対する水道敷設工事とがあるが、前者の部分
に係わる協定には問題がない。問題となるのは本協定において近隣葛城地
区住民の簡易水道世帯374戸、未給水世帯418戸、合計792世帯に
係わる上水道敷設工事費を事務組合に負担させようと言うもので、総額は
1,476,685千円である。(甲12から14号証)
この費用は加入する自治体が負担する事になり、甲15号証で示す通り平成   33年度迄に分割して支払う事としている。
この様な協定は市道建設工事費用の場合と同様、地方財政法4条の5、同   9条及び同28条の2の定めに反するものである。
 (2)水道事業は住民の生命を守る自治体の重要な基本的事業の一つであり、   水道法14条で給水義務を課している外、同法6条2では「水道事業は原
  則として市町村が経営するものとする」定めもある。
(ここで原則とあるのは水道事業の民営化を指すと言われている)
 (3)事務組合が負担する事としている近隣葛城地区は、し尿処理施設から
遠い所は4-5キロの範囲も含まれている。(甲16号証)住民の要望だと
言われるが御所市がし尿処理誘致の立場を利用して、他の自治体の負担に
おいて遅れている水道事業の整備を行う事は身勝手であり、認められない。
3.協定内容について最高意思決定機関である組合会議での決定はない。
本件協定書は平成12年11月28日に締結したが協定前の定例会会議録
4頁では「施設周辺対策としての整備事業は平成13年度から整備を行う
予定でございます。(略)なお、施設関係車両の進入路となる国道24号線
と、県道御所香芝線を結ぶ新設道路整備事業につきましては、現在のとこ   ろ、関係部局等との協議調整が今暫く必要としますので、事業手法等の詳   細は未定でございますが、これを整備する予定であります。」に留まってお
り、平成15年2月迄の定例会会議録を見ても機関決定の記録はみられな   い。首長間での話合、了解事項であるとは推認できるが、決定プロセスは   不透明である。実質的に加入自治体に負担を強要したと言われても仕方が   ない状況を醸し出している。
                               以上。

 
証拠方法
1.甲1号証 住民監査請求書 平成27年12月4日
2.甲2号証 意見陳述書
3.甲3号証 同上の監査結果 平成28年1月29日
4.甲4号証 協定書 平成12年11月28日
5.甲5号証 葛城98号線 図面
6 甲6号証 葛城98号線事業収支総括表
7.甲7号証 覚書 平成15年4月1日(葛城98号線工事費支払等)
8.甲8号証 市道葛城98号線整備事業 (年度別使用料の金額)
9.甲9号証 国土交通大臣宛 交付金交付申請書 (抜粋)
10.甲10号証 里道・水路 図面
11. 甲11号証 覚書  平成12年11月28日(水道整備事業とは )
12. 甲12号証 覚書第1条金額の内訳 (未給水地区等関連事業の金額)
13. 甲13号証 水道整備事業に係わる経費の支払に関する覚書
14. 甲14号証 覚書  平成20年9月1日 (水道整備事業の総額)
15. 甲15号証 別紙 (水道整備事業費の年度別支払計画)
16. 甲16号証 水道整備地区 図面

      



当事者目録

原 告
1.郵便番号 636-0023 
住  所 奈良県北葛城郡王寺町太子1-10-15 「送達先同左」
  氏  名 一 村 哲 司

2. 郵便番号 639-2257
住  所 奈良県御所市小殿303-2       「送達先は原告1」
氏  名 山 本 秀 子

被 告
郵便番号 639-2342
住  所 奈良県御所市僧堂333
氏  名 奈良県葛城地区清掃事務組合 管理者 東川裕





















別紙1

相手先 御所市に対する請求金額一覧表

1.葛城98号線新設道路工事に係わる費用       金  額
 ① 平成15年度から平成27年度迄支払済分の
 返還請求金額
 ② 平成28年度以降支払予定分の
   支払差止め請求金額  220,702,300円
 
  310,951,700円
2.近隣葛城地区水道整備事業に係わる費用
 ① 平成13年度から平成27年度迄支払済分の
 返還請求金額
 ② 平成28年度以降支払予定分の
   支払差止め請求金額 
950,253,750円

526,431,250円
      合   計 2,008,339,000円
by naraken-ombuds | 2016-02-29 21:44 | 監査請求・住民訴訟
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