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平城遷都1300年記念訴訟

平城遷都1300年記念訴訟


 平成25年2月14日 標記訴訟に関する口頭弁論が開催された。
被告が委託費用は適正な金額であるとの陳述であったが、裁判官
より数字の根拠を示す資料がないとの指摘があり、被告は改めて
準備書面を提出する事になった。
次回開催は4月11日 午後2時から

当日、原告が陳述した準備書面は下記の通り。
被告の水増し請求の実態を浮き彫りにした内容になっている。


平成24年(行ウ)第8号・損害賠償請求事件
原告   一村哲司外7名 
被告   奈良県知事
       

  準備書面 (5)                        
平成25年2月14日


奈良地方裁判所 民事部合議1係 御中  
                    

  原 告  一 村 哲 司 
被告準備書面(4)に反論する。

第1 変更契約書が不要とする被告の主張は当らない。
 1.被告は原告が水増し請求であると主張した機材やスタッフの
   費用の増額については「仕様書に定めのない細部の事項」
   であるから、平成22年11月1日の変更契約書に記載する
   必要はないと主張した。
 2.この主張には次の矛盾があり、被告の主張には理由がない。
  ア 被告は本件水増し請求部分が「仕様書に定めのない細部の事項」
   であるとしているが、果たしてそうであろうか。
   仕様書基本的項目では舞台監督、進行管理に係る部分として
   (2)メインテーマの構成及び付随するプログラムの作成があり、
  (3)(7)で出演者・ゲストの宿泊等の手配業務は人件費、交通費、
   宿泊費に係る部分である。
   実施に関する業務項目ではアの③映像・音響システムの運用や
  ⑥リース備品等の設備計画があり機材やスタッフの費用に係る部分
   の記載である。
   これ等の記載から「仕様書に定めのない細部の事項」ではなく、
   仕様書に定めのある事項である事は明確である。
   何よりも音響・照明等人件費と機材費が4、500千円から8、450千円
   と倍近く増額しているのに、細部の事項と言える筈はないのである。
   従って、被告は「平成22年10月中旬の段階で、県と共同体との協議
   により、ほぼ演出内容が固まり、機材やスタッフに係る費用の増加が
   明らかになった・・・・・」(監査結果12頁)時点で変更契約を締結する
   必要があった事は明らかである。
イ 平成22年11月1日の変更契約書の変更事項は「平城京レポート」
720千円増額、全体協議会開催費680千円、事前会合・協議会40千円夫々減額の3項目である。(甲4号証)平城京レポートは確かに仕様書を見て種類別印刷部数の変更であることは分かる。しかし、協議会開催に係る人員、経費等については被告が言うところの仕様書に定めのない事項であるが修正が行われており、被告の主張は矛盾している。
 ウ そもそも仕様の変更とは何を言うのか。Aという機器はバッテリー1個
   であったが、これに小さいバッテリー2個を加えることで性能が爆発的に向上したと言う様な場合は立派な仕様変更である。舞台監督、進行管理のスタッフが1名から複数名に変更することが仕様変更でないとどうして言えるのであろうか。
 エ 被告は機材やスタッフの費用は仕様書に記載されていないと主張するが、
   これは身勝手な主張である。本件仕様書はもともと本来の仕様書になっていない。仕様書5は基本的項目(概要)として11項目があり、仕様書6は実施に関する業務項目は(1)アで10項目、(2)イで5項目(3)で2項目(4)でその他必要となる項目とあるのみで、仕様書は概括的な記述に過ぎず、具体的仕様が分かると言うようなものではない。本件では仕様書と見積書がセットとなって仕様書を構成すると解すべきである。
見積書には項目毎に数量・単価の記載があり、この見積書をもって、本件の仕様の実態が分るというものである。「仕様書に定めのない細部の事項」とは仕様書には概括的記述も含めて何等の定めをしていなかった不測の事項の事をいうのであって、それは概ね細部の事項である。重要な事項が仕様書に記載漏れという様な事は通常大きなミスがない限りあり得ない筈である。
   原告は甲3号証見積書のタイトルに手書きではあるが「業務仕様書」と
   明記しているが、今まで被告から異論は聞いていない。
第2 1.音響・照明・映像機材費の増額について
被告は5頁から15頁にかけて、音響等機材費の相当性を主張している。しかし、これは回答になっていない。被告は結果的に2,000千円が4,200千円になったと網羅的に説明しているが被告が明らかにしなければならないのは、演出内容が固まった結果、当初予定していた機材はどれで、追加した機材は何であるかを、理由を付けて説明する必要があると思考する。後述の人件費、宿泊費等は当初計画との違いを示して説明しているのと比し、整合性がない。又、これに関連して増額するスタッフの人件費、交通費、宿泊費の増加についても論理的な説明が求められる。
   2.機材レンタル料について
   レンタル料が不当に高いと原告が指摘した①ScreenPRO―Ⅱ(甲12号証)、②分配器 DVI-12A(甲13号証)が最安値を集めた賃料であると指摘し、被告はフォーラムの重要性に鑑み価格よりも確実性を求めたと主張している。甲12、13号証が恰も信頼性を欠く業者であると決め付けているもので、相当性に欠ける判断と言わざるを得ない。が、結果として被告は上記機器2点のレンタル料が不当に高額である事を否定しなかった事は理解できる。レンタル業者は同じ競争の中で商いをしている訳で価格は市場原理に基づき形成されるものであり、ScreenPROの様に何倍もの価格差があるとは思えない。(注)㈱ズーム社1、079千円、甲12号証 130千円 但し単体の価格と思われるのでセット価格は若干UPするものと思われる)
  第3 音響・照明・映像・舞台進行人件費について
   1.当初予定50名が90名(内5名分はJV負担)と倍増に近く増
員している。内訳を見ると運営及び運営補助が11名から32名の
3倍近く増員、機材の増加による音響・照明は増員なく、映像が
11名増員しているに過ぎない。即ち、スタッフ増員因は機材の増
加因ではなく、運営という不透明な係りを増員した結果であり、数字
合わせと考えざるを得ない。
   2. 延90名ものスタッフに対する報酬が一律50,000円という
     事は実際問題としてあり得る話ではなく、数字合わせと言わざるを
     得ず、信頼することは出来ない。この業界では照明・音響等の係にはアルバイトとか見習生が必ず存在するのがむしろ普通である。
  第4 スタッフ宿泊費、交通費について
   1.宿泊費、交通費の単価については一応相当性があると判断する。
   2.しかし、スタッフ全員が首都圏からとの前提になっているが、
     果たしてその必要性があったと言えるのか疑問である。
   3.相当部分のスタッフを関西圏で手当できた筈で、全くの無駄遣い
     というべきである。
 第5 結論
「業務に要した経費が委託料を下回った」にも拘らず、精算の段階で色々理由を付けて当初契約金額まで増額して請求した事が被告準備書面で裏付けられたというべきである。
被告が必要な変更契約をしなかった事も重大な契約違反である。
従って、被告奈良県知事は請求の趣旨に沿って、奈良県が被った損害額
7,707,250円について賠償命令を下すべきである。
                                以上。

   
by naraken-ombuds | 2013-02-18 10:56 | 監査請求・住民訴訟
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